既製品の家具ではなく、内装デザインに沿った、特注家具の設計を希望する件数が伸びています。内装デザインをベースに特注家具を設計すると、内装デザインと自然に調和し、統一感のある空間の演出など、さまざまな効果が期待できます。この記事では、内装デザインに応じた特注家具を設計する効果やポイントをご紹介します。

◎特注家具を内装デザインに沿って設計する効果

特定スペースの専用家具である特注家具は、内装デザインに沿って設計すると、さまざまな利点が得られます。

〇デザインの自由度の高さと空間トータルコーディネート

特注家具は、注文者の理想や希望を反映させたデザインを用いて設計できます。形やカラー、大きさだけではなく、素材まで自由に選択でき、カスタマイズ可能な家具が特注家具であるといえます。特注家具を設計する際は、内装デザインとの調和を意識しながら特注家具を作成すると、部屋空間全体のトータルコーディネートも実現可能です。内装デザインの組み合わせにより、居心地のよい空間を提供したり、来客者の意表をついたりもできます。おしゃれやかっこいいなど、個人が望むテイストや内装デザインにあわせた造作可能な家具が、特注家具です。

〇機能性の追求と整理整頓のしやすさ

特注家具は、デザインだけではなく機能性も追求できます。機能性に優れた特注家具は、使い勝手もよく、業務効率も向上します。接客スペースでは、スマートな対応や、接遇の質の上昇が期待できるでしょう。また、機能性が優れていることは、収納したい量をきれいに収納できる容量があり、取出しがスムーズであることも意味します。使い勝手のよい特注家具は、整理整頓が行き届いた空間も生み出せます。同時に、特注家具は、収納したい対象のサイズや量にあわせた設計もできるため、特注家具を設置する目的に沿った造作が可能です。

〇空間とデッドスペースの有効活用

既製品の家具では、余白が生まれる可能性もありますが、特注家具では、スペースの大きさにあったサイズで家具を設計するため、隙間は生じません。内装デザインにより、既製品が入らないような狭さや、弧を描いたスペースであっても、特注家具は、広さや形に従った設計ができます。特注家具は、ありとあらゆるスペースを有効活用可能です。ファイルなど、収納したい対象があっても、設置したいスペースに既存の家具が入らないと、ファイルが入った棚を別の場所に置かざるを得ません。置けるスペースに余裕がなかった場合、手狭さだけではなく、従業員や来客の導線を妨げます。しかし、特注家具では、隙間や階段下など、ちょっとした空間も利用できるため、空間を広く保ちながら、スムーズな導線も確保できます。

〇コストパフォーマンスの高さ

素材や大きさなど、こだわる度合いによって特注家具は価格が変動し、既存の家具よりも高額になる場合があります。しかし、長期的な視点で考えると、特注家具は頑丈であり、精密なつくりになっているため、長く使い続けられます。特注家具だからといって、コストパフォーマンスがよくないというわけでは、ありません。こだわるほど予算を超える場合もありえますが、特注家具はいわゆるオーダーメイドのため、打ち合わせにおいて、材質の変更を依頼するなど、コストのスリム化が行える柔軟性も有しています。

◎内装デザインを意識して特注家具を設計する際のポイント

内装デザインのテーマとの調和や融合が、特注家具を設計する際は重要なポイントです。内装デザインにより、統一感がほぼ完成した空間へ、内装デザインテーマとかけはなれた特注家具を置くと、バランスが一気に崩れてしまいます。バランスを保つには、内装デザインと同系の材料を使用したり、同系統のカラーで特注家具をそろえたりすると、まとまりのある雰囲気になるでしょう。材料や色合いだけではなく、内装デザインが曲線的なテーマを使用していたら、曲線がある特注家具を設計して、統一感を導きだす方法もあります。あえて内装デザインからハズした特注家具も製作できますが、難易度が高いため、基本的に、内装デザインに沿った特注家具を設計することが大切なポイントです。

 

特注家具を設計する際は、家具の用途を明確にしておくとも肝心です。特注家具に何を収納したいのか、収納する対象の大きさや量はどれくらいか、はっきりさせておきましょう。特注家具の業者との相談時も、使用目的のイメージが明確だと、打ち合わせもスムーズに進みます。棚を特注家具として設計したいなら、棚段の高さや必要な段数、引き出しの有無など事前に伝えられる状態にしておくと、完成品イメージをより明確にできます。完成品の大きさを含め、思っていたものとは違うという事態を起こさない対策が重要です。具体的な用途をもって設計や製作が進むと、イメージ通りの特注家具が完成し、収納したいものをきれいに収納できます。思っていたよりも大きくて圧迫感がある、内装デザインのイメージを損ねてしまった、棚の高さが足りずに収められないなど、特注家具では起きがちな、完成後のトラブルを最小限に留められます。

 

特注家具の設置を希望するスペースの幅や奥行き、高さなどを把握して、特注家具を設計することも必要です。特注家具を設置する場合、設置空間にフィットした設計を希望するケースが、圧倒的に多いです。設置位置の寸法をあらかじめ確認し、業者に伝えると、特注家具に織り込める機能やできないことが明確になり、別角度からの提案をもらえることがあります。特注家具サイズの少しのずれで隙間が生まれるため、設計図面を確認し、実際にスペースのサイズを正確に計測すると、完全にフィットした特注家具を設計できます。

 

視点を変えて特注家具の設計を考えると、盲点になりがちなポイントは、搬入口の大きさです。内装デザインとの統一感をはじめ、さまざまなポイントに注意して、理想の特注家具を設計しても、搬入口でつまずくと設置ができません。特注家具が複数のパーツで構成されており、室内で組み立てられる場合は、大きなトラブルに発展しない可能性もありますが、設置を希望する場所までの、搬入経路の事前確認は非常に大切です。オフィスのエントランスをはじめとした、ドアの幅や高さだけではなく、エレベーターに入るのか、入らないなら階段を通れるか、事前の確認が求められます。

◎特注できる家具のバリエーション

特注家具は、設置目的や利便性、内装デザインに応じて、さまざまな造作ができるため、種類は多岐にわたります。たとえば、オフィス特注家具としてよく登場する家具は、棚やデスク、テーブルです。収納棚をはじめとした収納家具は、デッドスペースや既存の家具を入れるには、幅が狭いスペースや壁一面の本棚など、スペース面積や内装デザインのテーマに沿った特注家具を設計するケースが多く見られます。

 

打ち合わせスペースなどに設置されるワークデスクは、内装デザインや使いやすさ、使用予定人数にあわせた設計だけではなく、コンセントを設置し、パソコンやモニターを利用したミーティングが行えるよう、特注家具として設計されることもあります。オフィスの窓際や壁際、柱回りに、特注家具として造作したカウンターテーブルを設置する事例も増加しています。

 

デッドスペースが生まれがちな場所に、カウンターテーブルを据え置き、フリースペースや休憩スペースとしての役割をもたせることが可能です。内装デザインと融合させた設計を導入するだけではなく、コンセントをカウンターテーブルへ設置し、機能性の追加付与も行えます。特注家具の種類は、導入目的や設置スペースの面積、内装デザインとの相性を含め、設計できるバリエーションは多種多様です。同時に、顧客の希望を反映できる特注家具は、機能性とデザイン性を同時に有し、内装デザインとも調和する特注家具設計が実現します。

◎内装デザインに応じた特注家具を導入した当社の施工事例

内装デザインに沿った特注家具を設計することで、統一感の演出や広がりのある空間を作り出します。

〇目黒区オフィス

目黒区にあるオフィスの内装工事と同時に、内装デザインに沿った特注家具の設計と設置工事を行った実例です。内装デザインとしてスケルトン仕様が施された設計事務所内において、内装デザインに負けないような、特注家具を設計しました。オフィス中央から吊り下がった照明の特注家具や、壁面の色と呼応するカラーの円状デスクなど、多種多様の特注家具製作に携わりました。壁や床面の色を特注家具に採用し、内装デザインと融合したまとまりに貢献しています。クリエイティブな設計事務所のイメージと内装デザインにあわせた特注家具は、来客者の意表をつける演出に貢献しました。

〇港区田町オフィス

港区町田のあるオフィスで、社員のワークスタイルや個性をはじめ、多様性を引き出せる内装デザインと特注家具の設計に携わった実例です。エントランス空間にあるミーティングスペースへ設置した、特注家具のデスクには、コンセントなどパソコンを使用できる設備を設計し、対面以外でも打ち合わせができるよう、機能性を追求しました。内装デザイン済の備え付け天井照明の他に、吊り下げ型の照明を設置し、無機質にならないよう、温かみのある雰囲気を演出しています。内装デザインで使用されている、壁と床面の色や材質に沿った特注家具をデザインし、統一感や奥行きのある空間表現、すっきりとした印象へ寄与しています。

◎まとめ

内装デザインと調和する特注家具は、部屋に施された内装デザインの雰囲気をより一層まとめ上げ、統一感を演出します。特注家具は、依頼者の希望や好みを設計に反映できるため、デザイン性や設計の自由度、デッドスペースの有効活用をはじめ、特注家具だからこそ感じられるメリットが生まれます。内装デザインに応じた特注家具を設計して期待できる効果や、特注家具の設計ポイントにご興味ある方は、当社までお気軽にご相談ください。